2020年11月コラム
日中の眠気は体のSOSサイン!?
「かつどーなっつ」で睡眠管理を
日中の眠気は、夜の睡眠時間や質と大きく関係しています。ぼーっと眠気を感じる時間と、活動を把握する「かつどーなっつ」を使って、夜の睡眠時間を増やし、日中のパフォーマンスを上げましょう。
能力が発揮できないのは「睡眠負債」のせい?
その人にとって必要な睡眠時間が確保されていない状態で、慢性化した睡眠不足のことを「睡眠負債」と呼びます。
睡眠負債を抱えると、日中に強い眠気を感じるのはもちろんのこと、【認知】【行動】【感情】【注意・記憶】【身体】などにさまざまな悪影響が出てしまいます。具体的には、頭痛や高血圧、よく風邪をひく、集中力が続かない、記憶力や判断力が落ちる、などです。
「たかが睡眠不足で?」と甘くみてはいけません。ある研究※1では、毎日4時間睡眠を続けると、9日ほどで徹夜と同等のパフォーマンスしか発揮できなくなることがわかっています。6時間睡眠でも2週間ほど続ければ、徹夜と同じレベルになるといいます。
睡眠不足大国である日本人の私たちは、人生の大半で睡眠負債を抱えていて、自分の能力は今が限界と思っている人もいます。睡眠時間を改めるだけで、見違えるほど日常生活でのパフォーマンスが上がる人がたくさんいます。
※1 Van Dongen HP et al.:The cumulative cost of additional wakefulness:dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation.Sleep.2003;26:117-126

「かつどーなっつ」で眠気を自覚する
睡眠負債は、徹夜に比べて眠気を感じにくいという特徴があります。自覚症状に乏しく、周囲の人に指摘されるケースが目立ちます。では、どのように睡眠時間を改めればよいのでしょうか。
まず、1日の「活動」と「睡眠」と「眠気」を同時に可視化できる「かつどーなっつ」を作ります。
内側の円には、1日の活動を書きます。なるべく具体的に何をしていたかを書くとよいでしょう。外側の円には、眠気の強さ別に色を塗り分けます。例えば、「寝ている自覚あり」を赤色に、「起きてはいるがぼーっとしている」を青色などに。
通勤電車にゆられている時間や、ランチを食べた後、しばらく同じ作業をしている時など、眠気に襲われる時にしている活動をなるべく具体的に「かつどーなっつ」に書き込んでいきます。
書き終えて注目すべきは、何と言っても、夜の睡眠時間が足りているかという点です。「睡眠時間は足りている」と思っていても、外側の円に色がたくさん塗られている場合は睡眠負債がある証拠です。
次に、「眠気」を感じる時間帯をみていきましょう。何をしている時に強い眠気に襲われるのかを知ることは,対策を講じる上で大切です。

睡眠習慣を見直してパフォーマンスを上げる
「かつどーなっつ」で自分の「活動」と「睡眠」と「眠気」がわかったところで、次は睡眠習慣を見直していきます。
重要なポイントは次の3つです。
- 寝床に入るまで眠気をためておく。
- 毎日決まった時間に眠くなる体をつくる。
- 惰性でやっている活動をやめてみる。
早寝の邪魔になっている活動をどうやってやめるか、どうすれば睡眠時間を増やせるかを考え、スモールステップで実行に移していきます。
例えば、睡眠時間が6時間であれば、まず一週間、平日の睡眠時間を毎日30分増やす、というように、目標を細分化して最終目標に近づいていけるようにします。日中に眠気が少し解消されたり、集中力が出る時間が長くなるなど、良い変化が実感できたら、もう30分、睡眠時間を増やし、日中に眠気を感じない生活習慣にしていきましょう。「日中いかに覚醒しているか」が、よい眠りにつながります。
今は新型コロナウイルス対策で、在宅勤務が導入されたことで、通勤時間がなくなり、十分な睡眠時間を確保できるようになった人も少なくないでしょう。しかし、通勤がなくなった分、つい夜中まで起きてしまい、翌朝は始業時間ギリギリまで寝てしまう、という体内リズムが後ろにズレてしまう人もいます。
今一度、健康体の基礎である睡眠習慣を見直してみてはいかがでしょうか。日中のパフォーマンスが上がり、心身のバランスが整うことでしょう。

参考文献
『1時間多く眠る!睡眠負債解消法』(さくら舎刊)岡島義 著