意外と知らない体内リズムのこと 目覚めスッキリコラム

目覚め方改革プロジェクトのメンバーや専門家が良い目覚めをサポートする情報をお伝えします。体内リズムや目覚めについての情報なども随時更新していきます。コラムを読むことから「目覚め方改革」を始めていきましょう。

201911月コラム 「体内リズム」を整えた生活で「糖尿病」予防へ

11月14日は、「世界糖尿病デー」です。毎日の睡眠は、「糖尿病」の予後を左右するといわれる、血糖のコントロールに大きく関わりがあります。今回は、「糖尿病」と体内リズムについてご紹介します。

富山大学大学院 医学薬学研究部 病態制御薬理学 教授
笹岡 利安 先生

睡眠不足が
糖尿病リスクを高める要因に

生活習慣病の代表としてあげられる「2型糖尿病」。睡眠に問題があると、糖尿病の発症リスクが上がることが分かっています。2型糖尿病とは、すい臓から分泌されるホルモンの「インスリン」がうまく働かず、血液中のブドウ糖(血糖)の値が高くなってしまう病気のこと。

睡眠状態が糖尿病につながる大きな要因は、この「インスリン」の働きにあります。睡眠不足が続くと、自律神経の「交感神経」が高まりすぎたり、本来夜の入眠にともない分泌されるはずのインスリンに拮抗するホルモンが早朝に高くなったりして「インスリン」が正常に働かず、血糖が上がりやすくなります。

また、食欲を抑えるホルモンが低下し、反対に食欲を高めるホルモンが上昇。

起きている時間が長いため食べる時間も増え、睡眠不足による日中の体のだるさからエネルギー代謝が落ちます。その結果、肥満傾向に。肥満は糖尿病の“予備軍”といわれています。このように睡眠が血糖や食欲に影響し、糖尿病リスクを高める可能性があるのです。

睡眠不足が糖尿病リスクを高める要因に

体内リズムの乱れは、
血糖に悪影響

糖尿病は、睡眠時間だけでなく、体内リズムにも関係があります。アメリカのある研究で、夜に起きて昼に寝るという、昼夜逆転の生活を調査したところ、体温や自律神経に影響を及ぼすことが分かりました

体内リズムが整っていれば、体温は昼に高くなり夜に向けてだんだん下がっていきます。しかし夜に起きて昼に寝た場合、起きている時間帯は体温が低いまま。しかも寝るときは「交感神経」が高い状態で眠っていて、正常な生活リズムと比べ、血糖値が上がりやすく、「インスリン」が働きにくいことが分かりました。

つまり、朝になると目覚め、夜になると眠くなるという、人間本来の体内リズムに逆らうと、体への弊害が現われてくるということ。体内リズムを整えることは、血糖をコントロールし、糖尿病予防につながるのです。

*出典/Wefers J et al., PNAS, 115: 7789-7794, 2018

体内リズムの乱れは、血糖に悪影響

覚醒を司る物質を働かせて、
糖尿病予防へ

さらに、目覚め(覚醒)を司る、脳内の「オレキシン」という神経物質も、血糖コントロールのカギを握っています。オレキシンの分泌が高まるのは朝。すっきりと覚醒させると共に、適切に血糖を上げて体が活動できるようにサポートします。反対に夜は、オレキシンの分泌が減り、覚醒度が下がります。また、オレキシンには、血糖が低いときは上げ、血糖が高いときは下げるといった「調整力」があります。

朝の目覚めを良くして体内リズムを整えるためには、オレキシンを適切なタイミングで働かせることが大切です。糖尿病になると、分泌が減るタイミングでオレキシンが働いたままとなり、睡眠障害につながると考えられています。

オレキシンを適切に働かせるために、起床時刻と就寝時刻は一定にして朝日を浴びること、1日の食事のリズムを整えることをおすすめします。こうした体内リズムを整える生活習慣が、糖尿病を予防することにつながるでしょう。

覚醒を司る物質を働かせて、糖尿病予防へ
PageTop