意外と知らない体内リズムのこと 目覚めスッキリコラム

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20198月コラム 時差ボケ解消には光で「体内リズム」の調整を

夏休みは海外旅行に出かけるという人も多いのではないでしょうか。普段は意識していなくても、時差ボケにより「体内リズム」の変化をもっとも感じる瞬間でもあります。今回は、海外旅行や海外出張で起こる「体内リズム」のずれについてご紹介します。

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 臨床病態生理研究室 室長
北村 真吾 先生

体内リズムと時計のずれで
「時差ボケ」に

旅行や出張などで海外に行くと、移動距離によっては時差ボケが起こります。旅先に着いたり帰国したりした直後、昼なのに眠い、夜なのに眠れないといった経験をしたことはないでしょうか。

時差ボケとは、時差のある区間を急に移動したことにより起こる心身の不調のこと。体に備わった体内時計と、外の時計の時間がずれ、体内リズムが乱れることで起こります。時差ボケの症状として、不眠や倦怠感、疲労感のほか、胃腸障害や排せつリズムの乱れがあげられます。

実は体内リズムは、ずらそうと思ってもせいぜい1日に1時間程度しかずらせません。旅先の方角にもよりますが、3時間の時差だと体内リズムを戻すのに3日、9時間だと9日もかかるのです。旅行や出張で海外から帰ってきて翌日すぐに仕事という人や、反対に「海外出張後は出社まで〇時間空ける」という規定がある企業も増えているようです。どちらにしても、海外から帰ってきて体がつらいのは、体内リズムが正確に体をコントロールしているからなのです。

体内リズムと時計のずれで「時差ボケ」に

西側に行くほうが
「体内リズム」を調整しやすい

時差ボケは、時差が3時間以上あると心身に影響するといわれ、西側へ移動するか、東側へ移動するかによっても体への負担が変わります。

たとえば西側に行くほど、時間をさかのぼるため時計の時間は戻り、一日が長くなります。そのため体内リズムを「夜型」にずらす必要があります。一方東側に行く場合は、時計の時間が進み、一日が短くなるため、体内リズムも「朝型」にずらす必要があります(ただし、東側へ移動する際に日付変更線を超える場合、時間は進みますが日付は1日前になります)。

人間の体内リズムは、「朝型」にするよりも「夜型」にずらすほうが簡単という性質を持っています。長期休みになると、夜更かしは簡単なのに、休み明けの早起きがつらいのはそのためです。だから、東側に行くほうが体はつらくなり、西側に行くほうが、体内リズムが乱れても適応しやすいといわれています。

西側に行くほうが「体内リズム」を調整しやすい

旅先では
「光」で体内リズムの調整を

どちらの方向に行くにしても、体への負担を最小限に抑えるためには、体内リズムの整え方がカギを握ります。そのために最も大切なのが「光」。朝、太陽の光を浴びることで、目から入った光の刺激により体内リズムが同調します。

2~3日程度の短い海外滞在ならば、あえて日本時間のままの腕時計を持っていき、日本の朝に当たる時間に旅先で太陽が出て入れば、積極的に外に出て浴びましょう。反対に、夜の時間帯に光を浴びることは避けるのがベストです。

1週間以上の長期滞在は、少し眠くても早起きして旅先の朝の光を浴び、なるべく早く現地時間に体内リズムを合わせましょう。体がつらいときは、昼寝をはさんだり、カフェインで眠気を晴らしたりするのも効果的です。

また、東側に行くときは1週間ほど前から数時間ずつ寝起きする時間を早めて、行く前に体内リズムをずらして準備しておくことも有効です。海外へ行くときは、こうした方法で体内リズムを整えておけば、旅行なら元気な体で十分に満喫でき、出張ならしゃっきりと仕事ができるでしょう。

旅先では「光」で体内リズムの調整を
北村 真吾
北村 真吾(きたむら・しんご)
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 臨床病態生理研究室 室長

九州大学大学院芸術工学研究科修了。博士(芸術工学)。九州大学ユーザーサイエンス機構テクニカルスタッフ、国立精神・神経医療研究センター研究員を経て、2014年英国サリー大学睡眠研究センター客員研究員。2014年5月より現職。専門は睡眠科学、時間生物学、生理人類学。

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