2019年6月コラム 食習慣から「体内リズム」を整えて太りにくい体に
ダイエットしてもなかなかやせられない、太りやすくやせづらくなってきたという人は、「体内リズム」に目を向けてみましょう。今回は、肥満と体内リズムについてご紹介します。
夜遅い食事で、
内臓の「末梢時計」が乱れる
おいしいものはたくさん食べたいけれど、誰でも太りたくはないものです。人間の体に備わっている体内時計は、食べる時間などの食事の摂り方でリズムが乱れてしまうことが明らかになっています。その結果、やせにくくなってしまう場合があります。
最も関わるのが、内臓にセットされている「末梢時計」です。胃腸などの消化吸収に関わる臓器は、朝から昼にかけて活発になり、夜は休息します。しかし夜遅くに食事を摂ると、末梢時計の本来の働きに反することに。夜遅く食べると消化が間に合わなくなります。
また、体内リズムが乱れていると、夜眠くなるはずの時間に眠くなりません。すると、脳内の神経伝達物質「オレキシン」が働き続けます。オレキシンは空腹中枢を刺激するため、つい遅くに食べてしまう原因にもなります。
このように、太りやすさややせにくさには、食習慣による体内リズムの乱れが関係しています。メタボリックシンドロームのリスクも高めることになる可能性もあります。

体内リズムの乱れは、
ダイエット効果の減少にも
やせたいと思って一生懸命運動しても、食事の摂り方によって体内リズムが乱れていれば、ダイエット効果も半減してしまうかもしれません。そのためにまずは、起床・就寝時間を一定にし、食事を摂るタイミングも見直して体内リズムを整えることをおすすめします。
動物実験ではありますが、時間を一切決めずに好きな時間に食事が取れるようにしたところ、動物の体内リズムが狂ってしまい、内臓の「末梢時計」がリズムを刻めなくなったという研究もあります。それほど食事は、体内リズムを整えるのに深い関係があるのです。
さらに体内リズムの乱れは、エネルギーの消費にも関わります。寝る時間が遅くなると、睡眠時間が減り、朝の目覚めの悪さにつながります。日中もだるさが残ると活動量が減り、一日のエネルギーの消費量が落ちることも考えられます。

体内リズムを整えるには、
朝食と夕食がカギ
体内リズムを整えるには、食事の摂り方を見直すことが大切です。中でも重要なのが、朝食と夕食。「糖質+たんぱく質」の組み合わせは、体内リズムを大きく前後させることが分かっています。朝食は、青魚に含まれる「オメガ3脂肪酸」がカギとなります。朝食に、焼き魚やツナ缶などの魚メニューと、ごはんやパンなどの炭水化物をしっかり食べることで、体内リズムが整います。夕食は反対に低糖質の食事を心がけ、内臓の「末梢時計」を狂わせないようにしましょう。
また、夕食と朝食の絶食時間を十分に空けることも有効です。8~10時間は時間を空けてから朝食を摂ると、乱れた体内リズムがリセットされます。
朝食は英語で“breakfast”・絶食(fast)を破る(break)という意味です。つまり、朝に食べるから朝食なのではなく、絶食後の食事が体内リズムにとっての朝食になるのです。
肥満は生活習慣病リスクも高めます。体内リズムを整える食習慣で、健康で太りにくい体を目指しましょう。
